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TOPさえぐさ日誌ボクサー内藤とイジメ、そして、先生の一言!🤗

さえぐさ日誌

2023.03.09

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ボクサー内藤とイジメ、そして、先生の一言!🤗

ひどいイジメだった。胃潰瘍ができた。
毎日毎日、恐怖が続いた。
いまもそのトラウマが残っている。

僕がボクシングを始めた理由。
それは、中学のときのイジメだ。

相手に仕返しするためじゃない。自分の身を守るため。
パンチを打つのではなく、相手のパンチをよけるため。

僕は強くなりたいと思った。 僕は北海道の豊浦町で生まれた。
家は貧しかった。
サビだらけのトタン板で囲われた木造二階建て。
窓は木枠でできていたけれど、きっちり閉まらない。
毎年、冬の寒さをしのぐため、ビニールを打ち付けて、
窓をふさいでいた。 僕には父親の記憶がない。

僕が生まれてすぐに離婚したらしい。 母親は、
自宅の離れで食堂兼民宿を営み、朝から晩まで忙しく働いた。

なにも買ってもらえなかった。 中学時代当時の僕は、
身長が140センチくらい。
相手は170センチ以上あるやつもいて、
喧嘩してもかなわないと思った。 僕は笑いのものにされ、
使いっぱしりをさせられ、それでもご機嫌をとり、
媚を売りながら生きていた。 母親には隠していたけれど、
ある日、お腹が痛くて病院に行くと、胃潰瘍ができていた。

中学三年になって、さらにイジメはエスカレートした。
モノを隠され、靴を捨てられ、服を脱がされた。
もう、限界だと思った。 カラスやスズメ、虫でもいい、
人間以外のものになりたかった。 学校に行きたくなかった。

そのとき、佐々木先生が異変に気づいてくれた。
先生は、小さくて、運動神経がよくて、サッカー部の顧問。
歳は25歳くらい。 生徒との距離が近くて、
冗談が通じるやわらかい雰囲気を持った人。

その佐々木先生がホームルームで、こう切り出した。
「最近、誰かが、誰かをからかっている。特定の人に、
ひどいことをしている。誰がやっているか、
思い当たる人は手をあげろ!」 誰も答えない。
すると先生は、大声であいつの名を呼んだ。

「おまえのことを言ってんだよ!!」 シーンとなった。

僕は、ビックリした。 すごいと思った。
こんな大人もいるんだと思った。 先生が叫んでから、
イジメはおさまった。 僕は、ボクシングを始めた。

不思議なことに、強くなると、
やり返そうという気持がなくなった。

「先生のひとことで、救われたんだよ」
フライ級の日本一になって北海道に帰ったとき、
先生にそう言った。 先生は、変わらぬ優しい笑顔で、

小さくうなずいた。

このブログは、さえぐさ誠先生のFacebook投稿から記事を転載してアップしています。